今回は役職の前につける『前』・『元』についてお話しします。
解散総選挙中の衆議院議員の呼び方についても説明しますよ。
- 『前』・『元』の使い分けを覚えよう!
- 解散総選挙中の衆議院議員は何て呼ぶ?
『前』と『元』の使い分け
意味
『前』と『元』の使い分けをちゃんとできますか?
どういうこと?
接頭語って言うんですけどね。
たとえば、『前・町長』と『元・町長』の使い分けです。
意味合いが変わってくるんですよ。
どっちも、今じゃないけど、過去にその役職をやってたってことよね
その通りです。
詳しく紹介していきましょう。
『前』
まずは『前』ですね。
これは、一つ前の役職の人だけに付ける言葉です。
一つ前だけなの?
そうです。
二つ前はダメなの?
ダメです。
『前・町長』と言えば一つ前の町長。
『前・市長』と言えば一つ前の市長。
選挙で選ばれる役職だけでなく、会社の役職でも同じです。
『前・社長』と言えば一つ前の社長。
『前・係長』と言えば一つ前の係長。
『元』
じゃあ、二つ前はどうするの?
三つ前や四つ前の人もいるよ
そういう方達は、『元』を使って、ひとくくりで表現します。
『元・町長』は一つ前から遡って初代まで全ての町長。
『元・市長』は一つ前から初代まで全ての市長。
『元・社長』と言えば一つ前から遡って初代まで全ての社長。
『元・係長』と言えば一つ前から初代まで全ての係長。
『現』より前は全て『元』なのね
言葉だけで見ればその通りです。
しかし実際に使う時は1つ前の人には『前』を使うので、『元』は2つ以上前の人にだけ使うことになります。
- 『元』は『現』以外の全ての方
- 『前』は『現』の一つ前の方
このように分けられます。
司会の現場での使用例
来賓挨拶
『前』や『元』を意識して使い分けなきゃいけない時はあるの?
たとえば来賓挨拶で議員を紹介する時ですね。
現職であれば気にせず紹介しますが、現職でない時はその方の現在の状況を、特に気を付けます。
その場で急いでスマホで検索して、『前』か『元』か調べることもよくあります。
その場で!?
来賓の方は忙しいので、直前になって急きょ来られる方もいますからね。
事前に調べておけないのですから、仕方ありません。
でもそういう人を紹介する時って、資料があるんじゃないの?
そうだよね。主催者が来賓を呼んでいるんだから、情報なんて事前に分かるじゃん
主催者から渡される資料ですか?
そんな物はありませんよ。
え!ないの!?
ないと言うか、なんと言うか。
その場で「『前』議員の○○さん来たよ!」と言われたり、「『元』議員○○」と書かれた紙を手渡されたり。
そんなことはあります。
あるならいいじゃん
それ通りに言えば、調べる必要ないわね
いえ、まぁ、そう言うわけでも、ないんですけどね。
??
なんか、歯切れが悪いね
いえ、こういうことを言うと申し訳ないのですが・・・。
なにさ、言っちゃいなよ
声を小さくして言いますね。
主催者に教えてもらった情報が、間違っていたことがあるんです!
声を小さくしたのに、なんで色で目立たせるの・・・
実体験なのね
もちろん主催者の皆さんは喋りのプロではありませんので、『前』と『元』の使い分けが分からなくても問題はありません。
ですが司会者はプロですから、絶対に間違えるわけにいきません。
そうだなぁ。調べた方が安心だよね
『備えあれば憂いなし』
『転ばぬ先の杖』
主催者のためにも、主催者からの情報を鵜呑みにせず、実際に話す司会者がキチンと調べないといけないんです。
解散総選挙中の呼び方
『前』や『元』の呼び方について、司会者でなければ意識しないことを、もう一つお話ししましょう。
司会者でなければ?
普通の人は絶対に気にしません。
それは、解散総選挙中の議員の呼び方です。
解散総選挙・・・?
衆議院が解散して行われる選挙のことです。
簡単に説明しますね。
本当にカンタンにしてね
議員には任期があって、通常はそれを終える(任期満了)まで、議員であり続けます。
ですが衆議院のみ、解散という制度があります。
任期の途中でも解散して衆議院自体がなくなるので、全ての衆議院議員は議員じゃなくなるのです(議員としての地位を失う)。
議員じゃなくなっちゃうの?
そしてすぐに選挙が行われるのです。
それに当選すれば、再び衆議院議員になります。
なるほど。分かったよ
ではその解散総選挙中の、衆議院議員の呼び方は、どうしたらよいと思いますか?
すごい限定的な状況ね・・・
これが、実際にあったんですよ。
イベントは前もって予定してますからね。
急に解散総選挙が行われて、スケジュールが被ることは、現実的にあり得ると思いませんか?
言われてみれば、そうだなぁ
選挙で忙しくなるので、イベントにお越しにならない方もいますけどね。
逆に、約束通りお越しになる方もいます。
そんな時、現在は議員でないその方を、どのように紹介するか。
これは、司会者でなければ気にしませんよね!
たしかに
実際、何て言うのが正解なのかしら?
とりあえず『様』か『さん』をつけておけばいいでしょ!
それだけではいけません。
来賓でお越しの方ですからね。
役職を紹介するのは絶対必要です。
議員だってことを伝える?
「衆議院議員○○様」ですか?
残念。誤情報を伝えているので、間違っています。
その時は解散してて、もう議員じゃないんだもんね
じゃあ無難に『元』を付ける?
『現在』じゃない人は全て『元』って言ってたもんね
「『元』衆議院議員○○様」ですか?
考え方は良かったのですが、残念。
惜しいですね。
『元』を使えない唯一のパターンは何でしたか?
『前』を付けて紹介する時……!
そうです。
衆議院解散のこの場合、『現』は不在なのですが、その前にその職にいた方なので
「『前』衆議院議員」とお呼びするのが正解です。
まとめ
- 『前』・『元』の使い分けを覚えよう!
- 解散総選挙中の衆議院議員は『前』を付けよう!
「『前』『元』の使い分け」についてお分かりいただけたでしょうか?
よく分かったよ
解散総選挙中の議員の呼び方なんて、教えてもらわなければ分からないことだったわ
驚きと発見があったなら、お話しした私も満足です。
僕もちゃんと覚えたよ。間違えずに使うね
あんた、使う時ないでしょ。司会者になるの?
いいや、僕は将来、衆議院議員になる!!
また口だけなんだから・・・
以上
「『前』と『元』の使い分け!解散総選挙中の議員の呼び方は?」でした♪